雑記帳 ブログ
雑記帳 ブログP16
同人誌印刷 トム出版 雪華と冬コミ
先日、八甲田に80センチの雪が積もったそうだ。雪国の冬は早い。
こちらはとても寒くはなったが、雪の到来はもっと先だろう。
いや、降るかどうかわからない。去年はたしか殆ど降らなかったように記憶する。
南国の人たちは雪は珍しく、日常、雪との生活がある北国の方たちは、雪なんぞ
なんともなく、むしろうんざりする程のものでしかないだろう。
雪に対する感じ方も、それぞれの生活態度によって、
ずいぶんと異なるのは当たり前かも知れない。
ずっと昔、江戸時代に書かれた本 ( 版本 ) に
北越雪譜 ------ 鈴木牧之 著
という有名な刻本がある。
これは当時の人々の雪との生活の記録や、雪に対する工夫、知識
などがリアルに書かれていて、今読むとなるほど、と
膝を打たせるほど感得させられる。
我々は雪に対する敬虔な感覚というより、雪が降ると、
嬉しい・楽しい・珍しい、と言ったふうな、単なるノスタルジックな感動であって、
生活実感とは随分かけ離れているのではないだろうかと思う。
だが、しかし、真に勝手な話だが、いま時分になると、
雪について逆の杞憂が一つ浮上してくる。
12月29日から31日まで
◆☆冬コミックマーケット73 会場: 東京ビッグサイトで開催 !
〒135-0063 東京都江東区有明3-21-1
TEL 03-5530-1111 ( 代表 )
日程:12/29・30・31日の三日間。
冬コミが開催されるが、この間の雪はまことに困る。
会場にこられる作家やファンの方々の足の不便、荷物搬入の遅延の問題。
交通混雑や列車ダイヤの混乱などがあっては一大事である。
随分勝手なお願いだが、この三日間だけは雪を降らせないよう、
ただ水神様にお祈りするばかりだ。
同人誌印刷 トム出版 愛宕と曲垣
近くに、競馬場から帰ってきた馬の休養する厩舎がある。
私はお馬さんが好きで、仕事の合間やちょっとした息抜きにの時に、
その馬場に赴き、埒外から馬の遊んでいるのをぼんやり眺めたりしている。
お天気のよい日など柵に凭れて新聞を読んだりしていると
いつの間にかお馬さんが近づいてきて、うしろから私のシャツをくわえて
ぐいっ! と引っ張ったりする。
おっ、「 ショーハイママ 」( 馬の名前 )
だな、と思って振り返ると、やっぱりそうだった。
私は
「よしよし」
と声をかけながら大きな顔を撫でてやると、
お馬さんは嬉しそうに長い首を縦に振りながら、
鼻筋を私の肩にこすり付けてくる。
詮方なし。
私はポケットカら人参を取り出し、
ほら、
といって差し出すと、彼、いや彼女は、バリバリ音を立てて
美味しそうに食べる。
動物は馬にかぎらず、どんなものでも、とても可愛い。
手許に錦絵の「寛永三馬術」という一枚物がある。
例の曲垣平九郎が江戸愛宕神社の石段 86 段を馬で一気に駆け上った話の
刷り物である。
ちなみに寛永の三馬術とは、 曲垣平九郎、向井蔵人、筑紫市兵衛
のご三家をいうが、中でも曲垣平九郎は、将軍、家光公の梅枝の所望に応え、
愛宕神社の石段を馬で登り下りしたことで有名である。
当時の武家は主人に仕えるため、武術の鍛錬は常に怠り無く
やっておかなければならなかったのである。いざ、という時のために、、。
まさに、
謡曲「 鉢の木 」の佐野源左衛門のように、、、である。
その意味で、馬術の練磨は武家の心得の一つであった。
我々、世の中が太平になると、つい自分を磨くことも忘れ、惰性と無聊に
囲われつ、安逸な日々を送ってはいないだろうか。
つねに知識・先進の技術を磨き、
且つ、会社の運営上の戦略・戦術を企て、
時代の波に乗り遅れないよう、日々研鑽と実行あるのみである。
あっぱれ曲垣垣平九郎の如きのように。である。
犬と寒月
冬になると思い出す。
若かったころ、仕事から夜遅く帰宅して、深夜に夕飯を食べる。
六畳一間の居間兼、勉強部屋で、さてこれから仕事の残りを仕上げるのだ。
裸電球が一つ、部屋の中はだれもいない。表の犬走りの小屋に愛犬が一匹。
私の帰りをひたすら待っていてくれた犬だ。
可愛そうに寂しかっただろう。
エサを与え、温かいミルクをご馳走してあげよう。
軽く頭を撫でながら、声をかけてやると、ワンちゃんは嬉しそうに
身をよじらせながらシッポを振る。
それから、レポートやら何やら書き上げて、ようやく明日の準備が
終わったのが午前2時。
さて、と、
ワンちゃんを散歩させてあげよう。
私はワンちゃんをつれて軒先を出た。冷たい空気が肌を刺す。
見上げるとお月様が白い光を煌々と放っている。
夜道も田んぼも白く光っている。
ただ一つ、ワンちゃんの影だけが黒々と動いているばかりだった。
よし、明日はいい天気だな、
もっともっと勉強して、
立派な人間になって、お金もそこそこできたら、
お前にもっといいものを食べさせてやるからな、、、。
そう声をかけると、
ワンちゃんの尻尾の黒い影がうれしそうに揺れた。
軒を出て 犬 寒月に照らされる ------- 藤沢 周平
私はこの句がとても好きだった。
誰にも語らず心の奥底にひそかにとどめた大切な句だったが、
ワンちゃんだけにはしょっちゅう聞かせた句でもあった。
一見、寂寥感の漂うが如きに見えるこの句も、私にはそれ以上に勇気と
力を与えてくれそうな希望に満ちた句のように思えるのだった。
そのワンちゃんも昨年しずかに息を引き取った。
私をいつも励ましていてくれたあの子が、、、。
吾を待つと 軒端の犬の 月悲し ----- 筆者
湯島の白梅
ずっと昔、子供のころ「湯島の白梅」という映画を見たことがある。
鶴田浩二と山本富士子の主演だった。
湯島とおれば思いだ〜す。
お蔦主税のこころ意気、、。
こんな主題歌だった。
白黒映画だが、とてもキレイで、特に湯島天神の境内のシーンは
薄暮に白梅が一輪、また一輪、、。
ちらほら咲いて、そこに主税とお蔦の名場面が映し出される。
哀しいシーンだった。
それがきっかけで、
名著「婦系図」 泉鏡花 作
を読むことになった。
それからずっと後、私は神田明神下 ( ご存知銭形平次の居所地 )
から文京区湯島までブラブラ歩いてその神社に参詣したことがある。
境内立ってみると、なるほど歴史深い趣と、しっとりした情感の感じられる
とてもいい風景だった。ここはたしか、広重の「江戸名所百景」にも
登場する名所でもある。もし間違っていたらすみません。
その境内の中央にかなり広い梅園がある。
その梅の枝にはたくさん御神籤が結ばれていて、
ここにお参りした方々の神妙な心づかいが感じられた。
やはりここには、映画のシーンのようなぼんやりした春宵の風情が残っていて、
私は映画を見た子供のころを思い浮かべながら、
満足したように湯島駅に向かって石段を下りていった。